合唱歴20年以上の私が推薦する本です!
日本有数のプロ合唱、東京混声合唱団の名誉指揮者で、日本を代表する合唱指揮者、
故・田中信昭先生が書かれた、良い合唱ライフを送るためのノウハウが詰め込まれています。
合唱するための体づくりから、発声、練習方法、歌の表現の磨きかた、演奏会・コンクールに向けての心がまえ、合唱の歴史まで、網羅されており、
合唱をこれから始めたい初心者の方、もう合唱は長くやっているけどもう一回しっかりと見つめなおしたい上級者まで、
全ての合唱人にお勧めできる内容となっています。
初心者の方だと、本書の第一章の「身体の機能をアップしよう」と第二章「良い歌を歌うことことと、身体との関係」を中心に読むと良いでしょう。
これらの章では歌うための体づくりや、トレーニング方法について、平易な文章でわかりやすく書かれています。
個人的に着目してほしいのは、やはり立ち方のヒントの部分です。
ここが全ての基礎の部分になります。
私も、緊張して力んだりするとへっぴり腰になったり、胸が張れなかったりすることが多いです。
そうなると声が前へ届かず、ホールに座っているお客さんにとって物足りない演奏になってしまいます。
本書では、体育学者の著者野口三千三さんの著書「原初生命体としての人間」を参考されています。
↑ご興味のある方はこちらもどうぞ。
「次の瞬間、新しく仕事をすることのできることのできる筋肉は、いま、休んでいる筋肉だけである。(中略)休んでいるとは、『ぶら下げ』られているか、『ぶら上げ』られているかられている状態である。したがって、外見が立っていたとしても、身体の中身が休んでいなければ、本質的には立っているとは言えない。よりよい立ち方とは(よりよい姿勢)『ぶら下げ・ぶら上げの状態を、より多くもっていること』であり、ぶら下げ・ぶら上げの部分を多くするためにまっすぐの姿勢が大切なのである」
本書本文より引用
「ぶら上がる」、ちょっとピンときませんよね?
さらに本書では、以下のよう書かれています。
「ぶら上がる」とは、頭頂につけられた糸によって滑車で引き上げられる感覚
本書本文より引用
この感覚がぶら上がるのイメージです。
分かりにくければ、自分の髪の毛を掴んで上に引っ張ってみてください。
そして、ちゃんと全ての足の指と踵としっかり大地を踏みしめて立ってください。(他の場所には力入れない)
すると、胸が張れて、お尻がしまり、しっかりとした立ち姿勢となります。
ある程度、歌ってきている合唱経験者にとっても、今までやってきたことを見つめなおす上でも、
大変役に立ちます。
特に、自分がハッとさせられたのは、
「現場」を数多く体験すること、とくに練習を聴くことで耳は育つ
本書本文より引用
この一文でした。
うまく歌えてないところは、あまり聞きたくなくて、避けていた節が自分にはありました。
本来はうまく歌えてないところこそ、しっかりと聴いて、うまくなっていく過程も楽しめるようになりたいと思いました。
そして大事なのは「地に足をつけて、何度も聴く」こと。
本書本文より引用
そして、この一文もなかなか、鋭く的確な指摘でした。
もっと、上達する上でも、指導して合唱団全体のレベルアップをする上でも非常に重要なことだと思いました。
このように、合唱始めたての初心者や、自分みたいなある程度の経験者にとっても、非常に為になる内容となっています。
是非、読まれてみてください。
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